日本ではオムニコートとも呼ばれる砂入り人工芝がテニスコートの大部分を占めています。
メンテナンス・コスト性に優れるオムニコートは自治体の財政負担が軽くなり、さらに雨の多い日本では大会運営の運営リスクが減少するため、日本のテニスコートは次々と砂入り人工芝化されていきました。

しかしこのコートの種類(サーフェス)が原因で日本のプロが育たないという意見をよく目にします。著名な方ですと伊達公子さんや松岡修造さんなどが言及されているようです。砂入り人工芝は世界的に見ると日本とオーストラリアでガラパゴス化したコートで、テニスの国際大会では使用されないため砂入り人工芝に慣れると国際大会では勝てないと言われています。
そこで今回は250以上のATPツアーの大会のサーフェスの割合を調べてみました。

なおATP250以上の全試合のコートをリスト化しましたが、リストは長くなりますので記事の最下部にまとめてあります。

全大会のサーフェス数

こちらが2017年のATP250以上の大会を表でまとめたものです。
砂入り人工芝の数は0でした。

区分試合数ハードクレー
2504016177
50013832
10009630
GS
ファイナルズ
5311
総合6737228

わかりやすいようにグラフ化していきます。

全大会(総合)

2017年のATP250、500、1000(マスターズ)、ファイナルズ、グランドスラムの全67試合をコートの種類でわけたグラフです。
ハードが半数、ハードとクレーで9割り近くを占めていることがわかります。

全大会(室内・室外別)

こちらはハードを室内・室外で分けたグラフ。

 

ATP250

 

ATP500

 

ATP1000

 

グランドスラム・ファイナルズ

確かにハードとクレーが多い

全体で見ると88%の大会がハードもしくはクレーで行われています。
対して砂入り人工芝は0件ですので、砂入り人工芝に慣れると国際大会で勝てないというのは事実でしょう。

砂入り人工芝は一長一短

ただプロが国際大会で勝てないから国内のコートを全てハード・クレー化すべきかと言われたら悩ましい所だと思います。
プロの長塚京子さんはブログで以下のように書かれています。

おじさん、おばさんが”お楽しみテニス”をする程度なら良いかもしれませんが、
選手にとっては危険極まりないコートです。

プロの選手からすればごもっともな意見ですが、公共のテニスコートは必ずしもプロを育てるためだけにあるのではなく、国民のレジャー施設としての側面があるのも事実です。
また大会運営をするにしても雨が多い日本で全天候型の砂入り人工芝を利用するの合理的です。
自治体がコスト面を気にせずに既存のコートをハードコート化、更に言えば室内型のハードコートにすれば天候も気にせず大会運営できるようになりますが、財源的になかなか難しいのが現実かと思います。
個人的にはハードコートが増えてくれると嬉しいんですが、ジュニアやプロの育成所としての側面と国民のレジャー施設としての側面のバランスを考えるとなかなか難しい問題と言えます。

ATPツアーのコート一覧

区分大会名コート種類
1月250ブリスベン国際ハード
1月250カタールOPハード
1月250チェンナイOPハード
1月250シドニー国際ハード
1月250ASBクラシックハード
1月GSオーストラリアOPハード
2月250エクアドルOPクレー
2月250ソフィアOPハード(室内)
2月250南仏OPハード(室内)
2月500ABNアムロハード(室内)
2月250メンフィスOPハード(室内)
2月250アルゼンチンOPクレー
2月500リオOPクレー
2月250オープン13ハード(室内)
2月250デルレイビーチOPハード
2月500ドバイ選手権ハード
2月500メキシコOPハード
2月250ブラジルOPクレー
3月1000インディアンウェルズハード
3月1000マイアミOPハード
4月250全米男子クレーコート選手権クレー
4月250ハサン2世GPクレー
4月1000モンテカルロクレー
4月500バルセロナOPクレー
4月250ハンガリーOPクレー
5月250BMWオープンクレー
5月250ミレニアム・エストリルOPクレー
5月250イスタンブールOPクレー
5月1000マドリッドOPクレー
5月1000イタリア国際クレー
5月250ジュネーヴOPクレー
5月250リヨンOPクレー
5月GS全仏ローランギャロスクレー
6月250メルセデスカップ
6月250ロスマーレン
6月500エイゴン選手権
6月500ゲリー・ウェバーOP
6月250アンタルヤOP
6月250エイゴン国際
7月GS全米ウィンブルドン
7月250テニス殿堂
7月250クロアチアOPクレー
7月250スウェーデンOPクレー
7月500ドイツ国際クレー
7月250アトランタOPハード
7月250スイスOPクレー
7月500シティOPハード
7月250ロス・カボスハード
7月250オーストリアOPクレー
8月1000ロジャーズ・カップハード
8月1000シンシナティハード
8月250ウィンストン・セーラムハード
8月GS全米OPハード
9月250サンクトペテルブルクOPハード(室内)
9月250モゼールOPハード(室内)
9月250成都OPハード
9月250深圳OPハード
10月500チャイナOPハード
10月500ジャパンOPハード
10月1000上海マスターズハード
10月250クレムリンハード(室内)
10月250ヨーロピアンOPハード(室内)
10月250ストックホルムOPハード(室内)
10月500エルステ・バンクOPハード(室内)
10月500スイス・インドアハード(室内)
10月1000パリ・マスターズハード(室内)
11月ファイナルATPファイナルズハード(室内)

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